国道23号線沿いに位置する倉庫兼事務所の改修計画を行った。ここでは、色彩、造形共に工場地域の雰囲気にも馴染むパンチングメタルのスクリーンを正面ファサードに設け、外観イメージの刷新を図った。このスクリーンは真西に向いた正面ファサードから入射する強い日射を遮り、室内の温熱環境の保全に貢献することから、空調機利用による温室効果ガス排出の削減効果も見込まれる。パンチングメタルによる西日対策だけでなく、LED照明の採用、断熱性能の向上を図るなど、可能な限り周辺の自然環境・省エネルギーに配慮した改修設計をおこなっている。
竣工: 2021.11
用途: 事務所
規模: 859㎡
普段西日を遮るためにブラインドで遮蔽され、良好とは言えなかった執務空間の日射量を最適な量に調整し、室内環境を明るく開放的なものにするために、パンチングメタルの穴径と穴のピッチの検討を行った。一日の日射量を様々なパンチングのパターンで解析を行うことで、事務所空間に最適なパンチングメタルを検討した。 VR モデルを用いてデザインの検討も行い、壁材や床材、天井などテクスチャで反映することで、設計の過程で実際の改修後に近い建築を体験してもらい、有用なフィードバックを得ることができた。パンチングメタルや内装の検討で用いた VR モデルは、階段ホールとエントランスの照明検討にも用いた。エントランスと階段ホールにもライン照明を用いて壁面のデザインをしてほしいとの要望から模型と VR を用いてデザイン検討を行っていった。VR 空間では模型で検討したデザインを反映しつつ実際に利用する執務者からフィードバックを得つつ変更、修正を加えていった。 検討を重ねるなかで、最終的に階段の勾配に合わせた角度でライン照明を計画し、折り返し階段を登る人の動きに添うようなデザインとした。人の上り下りの動きに対応し、階段ホールを明るく快適な空間に保つことができ、出勤した執務者の気分を自然と明るくさせるようなスマートな照明デザインを実現した。